一般ユーザー向け・令和8年度版

不動産の税金は「いつ・何に・何から引くか」で見る

不動産の税金は、買うとき、持っている間、売るとき、相続や贈与でもらうときに出てきます。 特に「控除」は、売却益から引くものと、税金そのものから引くものを分けて考えると理解しやすくなります。

買う 印紙税・登録免許税・不動産取得税
持つ 固定資産税・都市計画税
売る 所得税・住民税
もらう 相続税・贈与税

最初に押さえる結論

売却の税金は利益にかかる
  • 売却代金そのものではない
  • 取得費や売却費用を引く
控除は何から引くかが大事
  • 利益から引く控除
  • 税金から引く控除
住宅なら軽減がある場合がある
  • 面積や性能を確認
  • 時期で扱いが変わる
個別確認が必要
  • 契約日・入居日
  • 所得・家族構成
  • 区域指定

1. 不動産の税金は、いつ出てくるか

1 買うとき 売買契約、登記、住宅ローン設定で税金が出ます。
2 買ったあと 不動産取得税の通知が届く場合があります。
3 持っている間 固定資産税・都市計画税が毎年かかります。
4 売る・もらう 売却益、相続、贈与で税金が出る場合があります。
場面 主な税金 かんたんな説明
買うとき 印紙税 売買契約書に貼る収入印紙の税金です。
買うとき 登録免許税 所有権の登記や住宅ローンの抵当権設定でかかります。
買ったあと 不動産取得税 土地や建物を取得したあとに、都道府県から通知が来る税金です。
持っている間 固定資産税・都市計画税 不動産を持っている人に毎年かかります。
売るとき 所得税・住民税 売って利益が出た場合にかかります。
相続・贈与でもらうとき 相続税・贈与税 財産を受け取ったときにかかる場合があります。

2. 控除とは「引いてよい金額」のこと

控除とは、税金を計算するときに差し引ける金額です。 大事なのは、「所得や利益から引く控除」と「税金そのものから引く控除」を分けることです。

利益から引く 特別控除

税金をかける前の所得や利益から引きます。

売却益5,000万円
3,000万円特別控除3,000万円
税金の対象2,000万円

税金から引く 税額控除

計算された税金そのものから引きます。

所得税15万円
住宅ローン控除20万円
所得税0円

サラリーマンで考える控除

年収500万円の会社員でも、500万円全部に税金がかかるわけではありません。

年収500万円
給与所得控除・基礎控除など差し引く
税金をかける対象残った金額

不動産売却で考える控除

3,000万円特別控除は、売れた金額から引くのではなく、原則として売却益から引きます。

売れた金額4,000万円
買った金額・売却費用2,700万円
売却益1,300万円

3. 自宅を売るときに大事な税金

自宅を売って利益が出ると、所得税・住民税がかかる場合があります。ただし、自宅の売却には、税負担を軽くできる制度があります。

売れた金額
4,000万円
売買代金です。この金額そのものに税金がかかるわけではありません。
取得費・売却費用
2,700万円
買った金額、仲介手数料などを確認します。
売却益
1,300万円
ここから3,000万円特別控除を引ける可能性があります。
制度 内容 注意点
3,000万円特別控除 自宅の売却益から最高3,000万円を引ける可能性があります。 居住実態、親族間売買でないこと、過去の利用状況などを確認します。
買換え特例 自宅を売って新しい自宅に買い換える場合、課税を先送りできる可能性があります。 税金が消える制度ではなく、将来に持ち越す制度です。
譲渡損失の繰越控除 自宅を売って損が出た場合、ほかの所得と通算できる可能性があります。 住宅ローン残高などの条件を確認します。

所有期間が5年以下か、5年を超えるかで税率が変わります。 判定は、原則として売った年の1月1日時点で5年を超えているかを見ます。

4. 家を買うときに大事な税金

購入時の流れ 契約から取得後まで
契約 売買契約書に印紙税がかかります。
登記 所有権移転登記や抵当権設定登記で登録免許税がかかります。
取得後 不動産取得税の通知が届く場合があります。

住宅の軽減措置で確認すること

  • 面積:登記面積で確認します。
  • 築年数:中古住宅では特に重要です。
  • 耐震性:古い住宅では確認が必要です。
  • 住宅性能:省エネ性能などで扱いが変わります。

40㎡台マンションの注意点

40㎡以上50㎡未満の住宅でも、制度によっては対象になる可能性があります。

  • すべての税金で同じ扱いではありません。
  • 所得税、不動産取得税、固定資産税で適用時期が違います。
  • 所得要件や住宅性能の確認が必要です。

5. 住宅ローン控除は、税金そのものから引く制度

住宅ローン控除は、住宅ローンを使って家を買った人の税金を軽くする制度です。正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。

住宅ローン控除のイメージ

計算された所得税15万円
住宅ローン控除20万円
所得税0円

控除額がそのまま全部戻るとは限りません。所得税から引ききれない分は、一定の上限の範囲で住民税から引ける場合があります。

確認する条件

  • 住宅性能:認定住宅、ZEH水準、省エネ基準など
  • 床面積:登記面積で確認
  • 所得:所得制限に注意
  • 時期:居住開始日、建築確認日を確認
住宅の種類 一般的な借入限度額の例 控除率 控除期間
認定住宅の新築 4,500万円 0.7% 最長13年
ZEH水準省エネ住宅の新築 3,500万円 0.7% 最長13年
省エネ基準適合住宅の新築 2,000万円 0.7% 最長13年
その他の住宅 2,000万円 0.7% 最長10年

6. ハザード区域は、税制優遇にも関係する場合がある

確認したい区域

  • 災害危険区域
  • 土砂災害特別警戒区域
  • 地すべり防止区域
  • 浸水被害防止区域

影響する可能性がある制度

住宅ローン控除、不動産取得税、固定資産税などの優遇に影響する場合があります。

ハザードマップは、安全面だけでなく、税金の確認にも関係します。

7. 持っている間は、固定資産税を確認する

毎年かかる税金

不動産を持っていると、毎年、固定資産税がかかります。市街化区域などでは、都市計画税もかかる場合があります。

更地にする前の注意

住宅が建っている土地には、税負担を軽くする特例があります。古い家を解体して更地にすると、土地の固定資産税が上がることがあります。

8. 相続・贈与でもらうとき

相続税の基礎控除

基本額3,000万円
法定相続人1人あたり600万円
相続人3人の例4,800万円

投資用不動産の注意

令和8年度改正では、貸付用不動産の相続税評価について見直しが予定されています。

相続税対策として投資用不動産を購入する場合は、購入前に税理士へ確認してください。

9. 売却・購入前の確認リスト

売る人が確認すること

  • 取得時の売買契約書があるか
  • 購入時の諸費用がわかる資料があるか
  • 売却にかかる仲介手数料などの費用がわかるか
  • 自宅として住んでいた実態があるか
  • 3,000万円特別控除を過去に使っていないか
  • 住宅ローン控除との関係を確認したか

買う人が確認すること

  • 登記面積が何㎡か
  • 住宅性能の証明書があるか
  • 入居予定日がいつか
  • ハザード区域に該当しないか
  • 住宅ローン控除の対象になるか
  • 不動産取得税や登録免許税の軽減が使えるか

注意書き

本記事は、不動産取引に関係する税金の基本を説明するものです。 実際の税額、特例の適用可否、申告方法は、物件の内容、契約日、居住開始日、所得、家族構成、自治体の取扱いにより変わります。

具体的な判断は、税理士、税務署、自治体、司法書士などの専門家に確認してください。

参考資料